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‖環境認識班

我々は,仮想環境の特徴を活かし,実環境に存在する3次元物体を認識する研究を行っています。
また,この技術は,自律的に行動するロボットなどに生かすことができます.

ロボットが自律的に行動するためには、「思考」の元となる「情報」が必要となります。
この「情報」を正確に得ることができなければ、どんなに優れた人工知能をもってしてもロボットの行動を制御できなくなってしまいます。
そこで我々は人間の視覚に注目し、ロボットに我々人間と同じような「眼」を持たせることを目標とし研究を行っています。


以下に我々がこれまでに行ってきた研究の一部を紹介します.



〜Object recognition by Virtual Learning
仮想環境を利用したロボットの物体認識

仮想環境の利用
一般環境中には多種多様な物体が存在しています.
本研究では,この様な多種多様な物体を効果的に認識するために仮想環境を利用しています.

仮想環境中では,物体の形状や質感を自在に変化させることが可能です.
この特徴を活かし,多様な物体を柔軟に認識できるシステムを構築することが本研究のコンセプトです.


このコンセプト図を下に示します.

仮想環境内で,モーフィングや材質パラメータというモデルの形状および質感を決定する
パラメータを変化させ,多様なモデルを表現します.
こうして表現した様々なモデルを仮想カメラを用いて撮影し,認識の際にテンプレートとして利用します.

また,ウェーブレット変換をフィルタとして導入し,実物体の持つテクスチャの影響を
低減することで,テクスチャを含めた柔軟な物体認識システムの構築をめざしています.



モーフィングの利用

モーフィングとは
モーフィングは2物体の中間体を生成するCG技術です。モーフィングの元となる2つの物体をそれぞれA,Bとしますと、生成された中間体は物体A,Bのそれぞれの特徴を特定の割合で保持する特徴があります。
(物体Aに近い中間体、物体Bに近い中間体という感じです。)

この中間体郡により、同じ物体の様々な形状に対応することができるので,認識をより柔軟に行えるようになります.

右にモーフィングの様子を示します.


モーフィングの様子

第46回自動制御連合講演会講演より抜粋

ロボットが自律した行動を行うためにはロボット自身による周辺環境の理解が欠かせない.そのため環境情報の収集から認識するまでの技術は周辺環境の理解に非常に重要なものとなっている.この環境認識はコンピュータービジョンおいて以前から2次元画像からの物体認識という形で提案されており,一般的には用意したテンプレートと物体画像とのマッチングによって物体を認識する方法が利用されている.

例えば,実物体に対して3次元空間内の各方面から二次元画像を収集し、固有空間法によってデータ圧縮を行ったテンプレートを作成して,マッチングを行っている.また,しかしながら,テンプレートと実際の画像の直接比較になることから,テンプレートとまったく同じ物体画像の探索には向いているが,それ以外の多くの物体を幅広く認識したい場合には不向きとなり,認識の許容範囲がとても狭いと考えられる.

これに対して,仮想物体による物体認識の研究では,2次元画像のウェーブレット展開により得た係数が,画像の特徴部分の情報を抽出した画像の近似となる性質を利用し,テンプレートと物体画像の特徴同士を比較することから,画像認識する許容範囲を広くすることができ,柔軟な物体認識が可能となった.

しかし人間が同一種類の物体として認識する物体には様々な大きさ・形の物が存在するため,コンピュータービジョンにより同一種類の物体を認識するには,複数の数多くのテンプレートを用意する必要があり,テンプレートの増大が避けられない.

そこで本研究では,モーフィングにより仮想空間の物体変形を行うことによって,大きさ・形が対極する2つの物体の様々な中間体を生成し,物体の様々な大きさ・形に対応したテンプレートとして利用した.

その後,得られた様々なテンプレートに対してウェーブレット展開など同様な処理を行い,その結果,大きさや形状が異なった物体に関して同一物体として認識できるようになったので報告する.


材質パラメータの利用

材質パラメータとは
材質パラメータとは,物体の材質そのものを表現するためのパラメータです.

この材質パラメータには,物体の色を決定する「拡散反射成分」や,
反射光の強度を決定する「鏡面反射の鋭さ」などがあります.

この拡散反射成分と鏡面反射の鋭さを段階的に変化させた様子を,材質パラメータの利用例として右に示します.

右の図を見ると,拡散反射成分が増加するほど全体の色が明るくなり,
鏡面反射の鋭さが増すと球体の輝点が小さくなっていることがわかります.

また,材質パラメータを調節することで,プラスチックや金属などといったさまざまな質感を持った物体の表現が可能となるほか,ポリゴン毎に材質パラメータを設定すれば部分的に異なった質感を持つ物体の表現も可能です.

これを利用してテンプレートを作成することで,物体の質感の変化に柔軟な認識が可能となります.


材質パラメータの利用例


ウェーブレット変換の利用

ウェーブレット変換とは
ウェーブレット変換は,フーリエ変換の発展系の1 つとして,
地質調査におけるデータの解析に利用するために考案されたものです.

また,これを画像の解析に利用すると「信号の隣接関係を打ち切らない解析が簡単な計算のみ」で実現できます.

本研究ではこのようなウェーブレット変換の特徴を生かして,これを画像からの特徴抽出処理に用います.
具体的には,実物体の持つテクスチャの影響を低減させるフィルタとして導入しています.

この様子を下に示します.

右側の画像を見ると原画像のテクスチャが大まかにですが除去できていることが確認できます.
つまり,ウェーブレット変換を用いることで,物体の持つテクスチャによらない柔軟な認識が可能になると考えられます.


ウェーブレット変換前

ウェーブレット変換後